黒死病 /「悪い水」とは
ペスト菌(エルシニア・ペスティス)が原因の感染症。ネズミの血を吸ったノミによって媒介し、高い致死性を誇る。症状が進むと敗血症による壊疽で皮膚などが黒ずむため、「黒死病」とも呼ばれた。歴史上何度か大きなパンデミックがあるが、14世紀に中央アジアからイタリア経由で広まったペストの流行は、ヨーロッパ全体で人口の30-60%(諸説あり)を死に至らしめたとも言われている。その後もヨーロッパでは散発的なパンデミックが何度も起こり、中世社会に大きな影響を与えた。しかし、当時は病原体という概念自体がなく、水やそこから立ち昇る臭気によって病気が発生するという説が広まり、入浴の習慣が廃れるなど、水への恐れが生まれてくる。